先日、2019年秋期の応用情技術者試験に合格しました。

普段は一部上場企業のシステム部門で働いていますが、システム開発ではなくIT企画寄りの仕事をしてるためバリバリのSEというわけではなく、出身学部も文系であるため勉強には少し苦労しました。
この記事では文系出身でこれから応用情報技術者試験を受験しようと考えている方に向けて、勉強のコツを共有したいと思います。
【応用情報技術者試験】受験時のスペック
受験時の僕のスペックを簡単にまとめると以下の通りです。
- 大学は文系学部卒業
- メーカーの情報システム部門でシステム企画の仕事をしている
- アプリ開発やネットワーク機器の設定など手を動かすことはほとんどない
ということで、振り返ってみると実務によるアドバンテージはほとんどありませんでした。
よって、応用情報技術者試験は実務経験がなくとも、勉強さえすれば問題なく合格可能です。
応用情報技術者試験とは?
応用情報技術者試験とは、経済産業省が認定し、IPA(情報処理推進機構)が実施するITエンジニアのための国家試験である情報技術者試験の1つです。

情報処理技術者試験はスキルレベル1~4の分類に分かれていて、応用情報技術者試験はスキルレベル3に位置します。
合格率は毎回20%前後となっています。
試験内容は主にテクノロジ系、マネジメント系、ストラテジ系の3分野から出題され、出題形式は以下の通りになっています。
午前試験は四肢択一の問題で過去問からの出題がメインで、午後試験は記述式で新しい問題が出題されます。
午前、午後ともに6割以上の得点が合格基準で、午前は6割が足切りとなっていて、足切りの場合午後は採点されません。
後ほど詳しくお話しますが、この試験の合格のためには午後試験をいかに攻略するかがカギとなります。
応用情報技術者試験の受験の動機
これは単純に業務命令です。
IPAの情報技術者試験は一度も受験したことがなかったため、上司からの指示は『基本情報技術者試験を取得せよ』ということでした。
『まー受けてみるか』と軽い気持ちで基本情報技術者試験について調べてみると、
アルゴリズムやらプログラミングが必須科目となっているではありませんか。
正直、今まで触れたこともないし全くわからないので、 文系の僕からすると、できれば避けて通りたい内容です。
ところが、さらに調べてみると、基本情報技術者試験の上位試験である応用情報技術者試験では、合格のためにアルゴリズムとプログラミングは必ずしも勉強する必要はないことが分かりました。
中には、『文系の人は基本情報は飛ばしていきなり応用情報を受けたほうが良いよ!』という意見もありました。(『本当!?』と思いましたが今となっては割と本当かもしれません。)
そんな意見を真に受けてしまい、応用情報技術者試験を受験することとしました。
【文系独学】応用情報技術者試験に3ヶ月で一発合格した方法
それでは、実際に僕が実践した勉強方法をご紹介します。
なお、この方法は『文系出身者が試験合格にフォーカスして実践した方法』なので、IT分野を体系的に勉強していきたい方にはオススメしませんので、あらかじめご了承ください。
応用情報技術者試験の勉強スケジュール
勉強期間は3ヶ月を想定していたので、試験日である2019年10月20日(日)まで逆算して7月下旬ころから試験勉強を開始しました。
全体スケジュールとしては以下の通りとしました。
- 1ヶ月目
→応用情報技術者試験のテキストを流し読み。
出題範囲の全体像をつかむ。
苦手分野(あまり内容が頭に入ってこない分野)を特定。 - 2ヶ月目
→午前問題の過去問を繰り返す。 - 3ヶ月目
→午後問題の問題集を繰り返す。
勉強しない分野を決める
受験の動機でもお話しした通り、文系出身なので数学やアルゴリズムやプログラミングなどは馴染がないし、あまり興味もないので、できれば避けたいと考えていました。
この点については、まず午後試験は11分野から5分野を選択して回答できるので、苦手な分野は選択から外せば問題ありません。
一方、午前試験は回答する問題を選択することはできませんが、全体で6割(問題数でいうと48問)を取れば良いので、その範囲内で勉強しない分野を設定することができます。
最初に『基礎理論、アルゴリズムとプログラミング』の分野が出題されますが、この分野からは80問中8問の出題となります。
僕の場合はこの8問を捨てて、残りの72問中48問を得点できるように勉強しました。
ただし、基礎理論の中でも『2進数⇔10進数の基数変換』はネットワークの分野で必要なので、勉強しました。
1ヶ月目:テキストを読み全体を把握する
1ヶ月目はまずはテキストを2周読みました。
応用情報技術者試験のテキストはいろいろありますが、僕が選んだテキストはほかの受験生からも絶大な信頼のあるアイテックの『応用情報・高度共通午前試験対策書』です。
全部で650ページほどあり読むのが大変でしたが、どの分野も詳細に解説がされています。
また、各分野の終わりに過去問が数題出題されていて、理解度の確認に役立ちました。
ただし、文字の解説がメインで図解が少ないので内容をイメージしづらい部分はありました。
このため、少しでもITに関する知識がある方はアイテックの参考書でも構わないと思いますが、ほぼIT初心者の方には技術評論社の『キタミ式イラストIT塾』がおすすめです。
イラストを用いて概念が理解できるように工夫されているので、初心者でもとっつきやすいです。
勉強時間は通勤電車のみで毎日往復1時間程度でした。
とりあえず、2周読んだらちょうど1ヶ月くらい経っていたと思います。
正直、この段階ではあまり理解が進んでいませんでした。
(『ふ~ん、そんな話があるんだ』という程度)
このため、実際に過去問を解くと正答率は40%くらいでした。
それでも合格できたので、この段階ではまったく問題ないです。
この段階で大切なのは以下の2点です。
- 全体の試験範囲でどのような論点があるのか概要を把握すること
- 自分が得意な分野・苦手な分野を認識しておくこと
2ヶ月目:午前試験の過去問を解く
2ヶ月目からは午前問題の過去問を解き始めました。
お世話になったのはこちらのサイトです。
無料で利用でき、解説もわかりやすいし、ユーザ登録すると自分の回答の正誤を試験回ごとや分野ごとでデータ化してくれるので、苦手なところを洗い出すのに役立ちました。
サイトの管理人様には本当に感謝です。
このサイトを使って、直近2年分は除く、過去5年分(計10回分)の過去問を3周ほど回しました。(直近2回分からは出題されないという情報があったため)
1週目はテキストの内容を全然理解できていなかったので正答率が40%を切っていました。
自信をもって回答できなかった問題は解説を読んで、それでもわからないものはテキストに戻ったり、ググったりして理解するようにしました。
Youtubeでも応用情報技術者試験の過去問解説チャンネルがあり、活用しました。
3周目のころは、正答率が80%くらいになり、回答スピードがかなり上がりました。
基本的にどの分野も同じ問題が繰り返し出題されていたり、問われるポイントが似ているので何問も解いていると慣れます。
試験当日も午前は試験時間が180分ありますが、90分もしないうちに退出している人が結構いましたし、僕も早めに退出しました。
勉強時間ですが、毎日の通勤時間にスマホで応用情報技術者試験ドットコムをやり、帰宅後できるときは1時間ほど自宅でも勉強しました。
土日は勉強しないこともありましたが、時間があるときは2時間ほど勉強しました。
正答率が80%くらいになると、本番の試験でも余裕が出るので、まずは正答率80%を目指しましょう。
3ヶ月目:午後試験対策本に取り組む
3ヶ月目からは午後問題に取り組みました。
午後対策もアイテックの問題集を使用しました。
この問題集はほかの受験者からも高評価でしたが、実際に自分で使ってみて本当に良い問題集だと感じました。
午後問題は問題文がかなり長く、1問3,4ページに及ぶのですが、この問題集は問題文よりも解説が圧倒的に長いです。
解説が丁寧に書かれていて、技術的な解説はもちろんのこと、出題意図と出題意図にあった回答方法まで詳しく解説してくれています。
この解説をじっくり読むだけでとても勉強になりましたね。
ただし、少し重いので電車の中で勉強するにはあまり向かないかもしれません。
この問題集も2,3周ほどやり、すべての問題を解ける状態にしておきました。
勉強時間は平日は通勤電車はスマホで応用情報技術者試験ドットコムで午前試験の過去問を繰り返していました。
午後対策は帰宅後1時間と、土日にそれぞれ3,4時間でした。
午後問題は何を選択するか?
午後問題は自分で回答する問題を選択します。
セキュリティは必須で、ほか4問を自分で選択できます。
- セキュリティ(必須)
以下より4問選択する
- ストラテジ
- プログラミング
- システムアーキテクチャ
- ネットワーク
- データベース
- 組み込みシステム開発
- 情報システム開発
- プロジェクトマネジメント
- ITサービスマネジメント
- システム監査
僕の場合はセキュリティのほか、システムアーキテクチャ、ネットワーク、プロジェクトマネジメント、ITサービスマネジメント、システム監査に絞って勉強しました。
プロジェクトマネジメント、ITサービスマネジメント、システム監査はテクニカルな内容はほとんどなく、国語の問題として解けるので文系の方にはおススメです。
(プロジェクトマネジメントは簡単な計算が必要になります。)
4問選択ですが、4問だけ勉強するのはリスクが高いので、もう1,2分野勉強しておいた方が良いです。
実際、僕も今回の試験では、試験前はネットワークを選択しようと思っていましたが、問題をみると『HTTP/2』に関する出題で、ほぼ勉強していなかったのでシステムアーキテクチャに切り替え、なんとか合格できました。
午後試験は新しい問題や論点が出題されることが多いので、余裕をもって5,6分野勉強しておき、当日の問題を確認してから柔軟に対応する必要があります。
午後問題は時間との闘い
180分で午後問題を5問解くというのは、当日が初めてだったのですが、時間がなくかなり焦ります。
問題集では1問あたり20分程度で解けていたので、余裕かな?と思いましたが、そんなことありませんでした。
解く問題を選択するにあたり、ある程度問題文を読まないと判断がつかないので、そこに時間がかかったと思います。
午後問題は選択肢を複数個持っておきたいですが、選択肢がありすぎて選択の判断が遅れるのは気を付けたいですね。
まとめ:応用情報技術者試験は文系でも理系でも勉強しないと受からない
文系には文系なりの、理系には理系なりのアプローチの仕方ができるのが応用情報技術者試験だと思います。
ただし、いずれにしてもある程度しっかり勉強しないと受からない試験だと思います。
また応用情報技術者試験を勉強すると、得意・不得意や自分の志向が見えてくるので、その次の高度試験に向けてイメージが膨らむのではないでしょうか。
この記事がこれから受験をしようと思う方の参考となればうれしいです。
以上、ぷみくんでした。